2010年2月25日木曜日

アイロン台

私が使っているアイロン台は、長方形の板状で、昔実家から持ってきた年代物です。表は布でくるまれていて、裏には紙が貼られています。
まさか中に藁が詰まっているなんてことはないでしょうが、長い間にいろんなものがしみこんでいる可能性はあって、中をのぞく気にはなれません。

アイロン台

服にアイロンをかけることはほとんどなく、もっぱら手芸の作業台として重用しています。

特に裏側。
適度な柔らかさで待ち針が刺さるから、型紙のしるしつけにちょうどいいのです。
人間の服は大きくて台からはみ出るものもありますが、小物や人形の服ならまず大丈夫です。

テーブルに載せたアイロン台の上に、裁縫箱や縫いかけの小物などを置いて作業します。
実は食事も同じテーブルでするのですが、アイロン台ごと移動させれば、あっという間にテーブルはすっきり。

また表も、小さな人形や小物を置いて写真撮影するときに、けっこう便利です。マスコット人形などは自力で立てませんが、この上に立たせて後ろを待ち針で留めたりします。

あまりに使用頻度が高いので、裏は針穴だらけだし、表裏ともあちこちに絵の具やボンドのシミがついたりして、すぐに汚くなるのです。

それで10年ほど前、新たな台を買い求めました。同じく長方形で、撥水耐熱性の布が貼られていますが、薄くて小さく、品質も悪く、裏には割れ目ができ、全体が反り返ってしまい、手芸台としては使い物になりません。針を刺すとせっかくの防水加工も無意味だし。
ときたまほんとうにアイロンをかけるときに使用しますが。

結局、以前からなじんだこのアイロン台を張り替えることにしました。
表は白い木綿布でぴっちりとくるみ、裏には白い厚手の紙を貼ります。簡単な工程で新品同様になりました。

そのような張り替えを1、2年ごとにおこなって、徐々にアイロン台は太りつつあります。

上が新しい布。下は汚れていた旧布。
白布

2010年2月21日日曜日

ナイトキャップ

子どものころ、アメリカ漫画を見てびっくりしたのは、夜寝るときに帽子をかぶること。
それもいい年の男の人が、派手なデザインで丸い房飾りのついた、長い円錐形の帽子なんかかぶっちゃってるでしょ。髪が乱れないようにするためだろうか、それとも健康上の意味があるんだろうかと、いぶかりました。

身近にも、女の人が寝るときにかぶることがあるのは知っていました。カーラーいっぱい巻いて、それが取れないように押さえておくためのキャップです。

中学生になり、私もいっぱしのおしゃれ心から、カーラーや金属製のクリップを使ったりするようになりました。あれは痛いです。眠りを妨げるし、夜中に無意識のうちにむしりとったりして、さんざんでした。
その後スポンジで覆ったソフトなものに買い替えたりしましたが、あまり上手にできず、結局しょうもないことに小遣いを費やしたもんだと後悔しました。

そうやって女性がかぶるナイトキャップは、男性のようなサンタ帽ではなく、シャワーキャップのような形が一般的だったと思います。

カーラーはやめたものの、縫い物をするようになってから、いくつかナイトキャップを作った記憶があります。
円形の布のまわりにレースやフリルをつけ、数センチ内側をゴムミシン糸で縫うのが一番簡単です。

そのひとつが抽斗の中に現存しています。
ナイトキャップ
パジャマとおそろいで作ったのですが、パジャマのほうはとっくに擦り切れてお払い箱になりました。
このキャップ、ほとんど未使用だけど、当然ながらゴムは劣化してびよーん・・・と思いきや、案外弾力性が残っています。けっこう幅広のゴムテープを通しているのです。

どうせかぶることはないから捨てればいいのに・・・いやいや、交通事故や病気で入院なんてことになったら、見舞い客に乱れ髪を見せずに済むから便利じゃないですか(って、不吉なこと考えるなよ)。

2010年2月19日金曜日

パールフラット

人形の髪を捜して毛糸の箱を漁っていたら、三菱レイヨンの『ミンクル・パールフラット』というものが出てきました。

パールフラットは一種のサマーヤーンで、夏帽子やバッグを編むのに使われた糸です。とうの昔に製造中止になったようです。ひところ黒を探し回ったけど、見つけることはできませんでした。
イメージとして、荷造りなどに使う安物の白い紐に似ています。
同種の素材であるハマナカ『アンダリヤ』なら、ご存じのかたも多いのではないでしょうか。

私が人形作りを始めたきっかけとなった本が、グラフ社の『人形づくり』(菊池ともゆき)です。
人形づくり
その本の中で、人形の髪としてパールフラットが使用されていました。

パールフラットは幅広で平たい形状をしていて、目の細かい櫛でとくと、細かく割れて毛髪状になるのです。バサバサしていて、お世辞にも優美とはいえませんが、人形の髪といえば毛糸が相場だった当時は、つやがあって目新しく、重宝しました。

ちなみに、アンダリヤはといても割れません。見た目は似ていても、素材が違うようです。パールフラットが消えたのも、すぐ割れて扱いにくいという苦情のためではないかと思います。

今では近所の店でも、人形用のレーヨンやナイロンの髪が買えるようになりました。私もパールフラットを使うことはもうありません。

だけどパンクヘアのように突っ立った髪や乱れ髪は、やっぱりパールフラットが最適って気がします。

人形
昔作った、金茶パールフラット髪の人形。

2010年2月17日水曜日

ぬいぐるみの布

ぬいぐるみは、通常毛足のあるファー布を縫って作ります。

ダックスフントの作り方ページでは、初心者にも長毛種をすすめていて、その理由として、見映えが良くてごまかしも利くと述べました。

それはその通りですが、実際の話、長い毛足の布はほんとうに扱いにくいものです。

裁断するときは長い毛を切らないように注意しないといけないし、毛がついている分厚いから、ミシンをかけたときにずれやすいし、縫い込まれた毛を引っ張り出すのに手がかかるし、仕上げのトリミング(刈り込み)がこれまた大変だし、作っている最中にたくさんの毛が舞い散るし・・・。

このごろでは、裁断した布の縫い代に植え込まれている毛をカットして、地肌だけの状態にしてから縫い始めます。
はさみの先を差し込んで、慎重に毛だけを切っていくのです。

等身大の猫で、足の裏を別付けするタイプだと、パーツは耳を除いて18枚にのぼり、縫い代の合計も相当な長さになります。むろんそれは単色の場合で、バイカラーや三毛猫だともっと細かく分かれます。
縫い代だけでなく、最終的に短くする部分(顔や手足)なども、大まかにカットしておきます。
そんなわけで、カットだけで2時間以上かかります。切ったあと、1枚ずつ掃除機で無駄毛を吸い取ります。

面倒な作業ですが、これをやっておくと、縫うときにいくぶん楽だし、仕上がりもきれいです。
まあとにかく、ぬいぐるみ作りは根気と精神力が必要な大仕事なのです。純粋に趣味として取り組まないと挫折しますよ。

黒なのでややわかりにくいけど、右側が縫い代をカットした布。
ブライトハイパイル

そうやって切った毛はかなりのかさになり、なんだかもったいないなーと思ってしまいます。
切った毛