2011年12月29日木曜日

手作り手袋

昔作った薄手2ウェイニットの手袋。秋から春まで手離せず、洗濯を重ねてボロボロになり果てました。

キラキラ手袋
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ボロボロ手袋

キラキラ模様は完全にはがれ、縫い目がほつれ、指先には穴。
正真正銘、同一品ですよ~。ふつう、こんなになるまで愛用するかっての。

実際の話、自作の手袋を1度はめると、そのはめ心地の快適さに、市販品を使う気は失せます。
私って、手袋作りの天才?

いえいえ、私の手袋はかなりずさんです。
市販のちゃんとした手袋は、親指の付け根が複雑な形にくりぬかれ、指が動きやすいようにできています。私の手袋の親指の付け根は単なる楕円形。
市販の手袋はてのひら側と甲側の長さが違い、4本の指の付け根のフィット性を増すとともに、指が長く見える構造です。私の手袋は両面同じ長さ。
おまけに縫い方はヘタだし、縫い代の幅も均一ではありません。

にもかかわらず、市販品は嫌い。
肉体の欠陥を公表したくはないけれど、実は私の手に問題があります。既製品はどれも親指の先が余るのです。だから物をつまむなどの作業に差し支えて、非常に不便。
子どものころからそうなので、布や革の手袋は親指の先を縫い縮めたりしていました。
といって、私の親指は特に短いわけではないのです。先を詰めると、根元が浮いて、結局動かしづらい。
どうやら私の親指は、普通の人より下のほうについているようです。

手製の手袋ならそこを調節できるので、多少ずさんでも、既製品よりずっとピッタリくるのです。

小指が短い人を何人か知っていますが、そういう人々が短い小指の手袋をはめると、かえって見映えが悪いかもしれないし、そもそも小指の先が余ってもさして不自由はないでしょう。
でも親指は1本でほかの4本に対応するほど重要な指だから、フィットしていないと使いこなせません。

手袋はほかにもいくつか作りました。ほとんどが綿ニット(いわゆるTシャツ地)製です。綿ニットは安価で縫いやすいけど、摩擦に弱く、1年も経たないうちに擦り切れてしまいます。しかも2ウェイほどフィット性がない。
別の2ウェイでもっと本格的な手袋を作ろう作ろうと思っているうちに、時は過ぎ、お気に入りはズタボロ。

もっと本格的な・・・というのは、もちろん、既製品と同じように複雑なカットのものです。

市販の手袋を分解して型紙を作り、試作1号完成。

おニューの手袋

素材はブルーとグレイのグラデーション地に細かいラメが散っている2ウェイです。こういうのが好みってわけではないけど、2ウェイの無地は厚いから、妥協したのです。1メーター2,500円くらいで、20センチ買えば、柄合わせを無視して手3つ分(1対半)できそうです。だからひとつめは失敗しても大丈夫、と。

2ウェイはほつれないので手袋に向いていますが、非常に扱いにくいのです。カットすると微細な粉が落ちるし、待ち針を打つと穴があくし・・・。細部は手縫いになりました。

苦労して作ったわりに、はめ心地がいまいち。親指がやや低すぎて、てのひらにしわがよるし、まちが妙に目立って、とりわけ指と指の間(水かき部分)が気持ち悪いのです。まちは控えめにカットすべきでした。
修正してちゃんと作ろうと思いつつ、すぐに飽きて放り出す性格のため、その後放置しています。しょうがないなあ。

2011年12月27日火曜日

劣化布

長年縫い物をしておりますと、はぎれが増えていきます。
小さな人形作りに布はほんの少ししか必要ないけど、布を買うには最小単位があるし、余りは小物か何かにしようと、1メートルくらいは買っちゃいます。どうせ小物なんて作りはしないんです。

そうやってたまった布は衣装ケース7箱分。いいかげんどうにかしなきゃ。
少しずつ整理を始めました。

布は腐らない・・・というわけでもないんですよ。
ひとつの箱の底から出てきたのが、アニマル柄ふうな超短毛ファー。裏側はビニール引き(らしき光沢布)になっています。これを広げてびっくり。

常々、ゴムや合皮の劣化に困っていましたが、まさしくこの布も品質低下が進行していました。裏を触るとベタベタするのです。ビニールがよじれてはがれて、細かいかけらが手にくっついてしまいます。

布

10年近く前、人形のマントを作ろうと購入したのですが、カットして羽織らせてみたら、ゴワゴワして全然イメージに合わない。マントは別の薄い豹柄ファーにサテンを裏打ちして作りました。そしてこの布はお蔵入り。

140×150センチカットで売られていたバーゲン品なので、かなりの分量があります。捨てるのはもったいない気分。

マントとしてカットしていた分を、ゴム手袋(塩ビ製)でこすってビニールを全部はがし取り、濃い洗剤液につけて押しもみました。液はコーヒー牛乳みたいな色になりました。
何度もすすいで乾かし、冬向きの帽子を作りました。丁寧に洗ったつもりだったのに、裁断や縫製の途中指先がちょっとべたつきました。
髪に直接当たると嫌なので、木綿布を裏地として使用。ま、何度か洗濯すれば大丈夫でしょう。

帽子

布の残りはゴミ袋に押し込みました。

2011年11月15日火曜日

ミニポメ

先日ポメラニアンのぬいぐるみを作ったのですが、いまいちポメラニアンらしさが足りないのは、被毛のせいもありましょうか。使ったのは長短(3~7センチくらい)の毛が入り混じったハイパイルとかいう布です。

本によれば、スピッツ系の毛は「開立」しているのです。パンクヘアってとこ。
長い毛が立つには、1本1本に硬さと強さが必要と思いますが、私は実際にポメラニアンを触ったことがなく、間近に見たことさえないので、どんな毛質かは知りません。写真ではけっこう柔らかに見えます。

合繊のファー布は、毛が長いと寝てしまうから、開立の雰囲気を出すのが難しいような気がします。

ポメラニアンも生後3か月ころまでは短毛です。2センチのファーで子犬を作ってみようと思い立ちました。
高さ10センチのお座りポーズ。豆柴の型紙を流用しました。

ミニポメラニアン

うーん、目と鼻を替えれば、猫にもなりそう。

毛は立つけど、長さが均一で密生しすぎているようです。ぬいぐるみ作りは最適の素材を得た時点で半分完成したといえるかもしれません。いやいや、最適でないものを使ってもそれらしく仕上げるのが達人の技だぞ。私もまだまだだですねえ。

2011年11月13日日曜日

悲運のポメラニアン

体調が思わしくなくて、しばらくなんにもしていませんでした。
「体調」といっても、体のほうではなく、頭、というか、精神面、つまり一種の「怠け病」ですから、同情の余地など全くなし。どうも私は周期的にこういう状態になるのですが、なんとかしなければと焦れば焦るほどドロ沼に落ち込んでいくものなんですよね。

そんなとき、某大企業から、白いポメラニアンのぬいぐるみを10体作ってほしいというメールが来ました。CMで使うんだとか。

犬のぬいぐるみはもう作らないつもりでいましたが、ポメラニアンならパピヨンの型紙をアレンジして比較的簡単にできるかもしれない。とりあえず1個作ってみましょうと返事しました。

押入れから白の長毛ファーをひっぱり出して、床に広げようとかがんだとたん、腰にピキッと痛みが・・・。あれ? ひょっとして、ぎっくり腰かいな。
いったいなぜ? 重いものを持ち上げたわけでもなく、腰に力がかかったのでもなく、ひねってもいないのに。
エクササイズもウォーキングも長いことサボっていたから、体力が落ち、骨も筋もなまりになまっていたんでしょうねえ。

ぎっくり腰は冷やして安静にすべしと聞いたので、保冷剤を当てて7時に寝ました。当然、布は放置。
翌日になってもいっこうに治まりません。背中を丸めて横向きに寝ているのが一番楽ですが、座ったり歩いたりすると、イタタタ。

だからって、ずっと安静にしておくわけにもいかず、湿布薬を貼り、コルセット代わりに着物の帯を腰に巻いて活動開始。
床に腹ばいになってしるしをつけ、寝転んで裁断するのです。ミシンは床に下ろすには重すぎるので、椅子に座って腰を曲げた姿勢で縫いました。

どうにか頭を形づくってボディを縫っていたら、くだんの企業からメール。よそでいいのが見つかったからキャンセルします、と。どひぃ。

まあ、そういうわけで、将来白ポメのぬいぐるみを使ったコマーシャルを見かけたら、ルノさんをあざわらってやりましょう。
負け惜しみじゃないけど、これで良かったような気もします。10個も同じものを作るのは性に合わないんです。
もし先によそと交渉していれば、うちに話は来ず、私はいまだにうだうだ怠けていたことでしょう。再起のきっかけをもらったことに感謝しなければ。

あらためて画像検索したところ、ポメラニアンのぬいぐるみはわんさか出回っていて、数十万円もする超リアル系から数千円の癒し系まで、個性もさまざま。ポメラニアンより人気の犬種なら、もっともっとあふれかえっているはずだから、私ごときがノコノコ参入しても太刀打ちできないに決まってます。

せっかく作り始めたので、試作1号を仕上げました。高さ28センチ、重さ250グラム。



どこかのページに、ぎっくり腰は3日間の辛抱とありました。確かに3日後には痛みがほとんど消え、1週間も経つとすっかり元通り。
さあ、バリバリやるぞー(ホントに?)。

2011年3月30日水曜日

理想のしもぶくれ

猫の頭の失敗作がゴロゴロしていると書きましたが、実は、ウサギの頭も猫に負けないほど転がっています。
新たな型紙を作るたびに番号を書き込んでいるのですが、数字が大きくなるにつれて情けなさも増すから、13作目以降は数えないことにしました。なお、ウサギはボディも変な形ばかりできて、それぞれの失敗を1として計上するから、まるまる13匹以上作ったわけではありません(自慢にならん)。



ウサギは犬や猫に比べると、シンプルで作りやすいはずです。どうしてうまくいかないんでしょう。

私はアニメやマンガのキャラクタードールもよく作りました。
犬夜叉や蔵馬の顔を正面から見ると、口が小さくて、あごはほとんどないに等しい。それなのに、横を向けばちゃんと角ばって大きなあごがあります。この正面顔にこの横顔はありえねーと異議を唱えたいけど、作者がそう描いているんだからしかたない。
どちらかを犠牲にするなどで、どうにかクリアして作り上げたわけですよ。

ウサギも事情が似ています。
正面と横の雰囲気が違うんです。前や斜め前から見るとかなり強度のしもぶくれなのに、横からはホッペが突出しているのが信じられないみたいな普通顔です。
私は実物のウサギを見たことがないので、そのギャップに混乱するのです。

子どものころは学校にウサギがいたような気がしますが、具体的な記憶はありません。そのウサギは当然「日本白色種」という、細面に赤い目の白ウサギで、あまりしもぶくれではなかったのでしょう。
誰でも知っている『因幡の白兎』を思い起こして、この白色種は古代から我が国にいたと誤解している人々も多いようですが、実は明治時代に海外からの輸入ウサギとかけあわせて作られたのだとか。あんなに和風なのに、ハーフだったんですねえ。

その海外のウサギといえば、バッグズバニー(Bugs Bunny)に代表されるように、激しいしもぶくれです。私の年代の日本人がウサギに対して抱くイメージにはちょっと距離があるんですね。
今や我が国のペットうさぎは海外型に圧倒されているので、しもぶくれでなきゃウサギ失格・・・と若い人々は感じているかも。

私が作るぬいぐるみの問題は、ホッペがなかなかふくらまないってことなのです。

ある部分をふくらますには、へこませたい部分にダーツを入れるのが常套です。で、いろんな向きに入れてみたけど、狙った形になってくれません。

最初はフリースを使いましたが、どうも感覚がつかめないと、ボア(ファー)に変えました。ボアによる試作はフリースよりも手間がかかるので、失敗の挫折感も大きいのです。しかしまあ、いくらミスってもめげずに挑戦し続けるところなんぞ、我ながらゴ立派(失敗しないほうが立派じゃないのか)。

自分で取り組むほかに、既存の型紙でウサギを作りました。ひとつは『はじめてのぬいぐるみ うさぎ・ねこ・いぬ・くま』、もうひとつは『鍋島知津子の動物のぬいぐるみ』・・・どちらもしもぶくれではありません。でもじゅうぶんにウサギっぽい。
案外しもぶくればかりにこだわることはないかも・・・と、妥協することになりました。

頭を縫ってわたを詰めただけでは、ウサギだかなんだかわからない、へんてこな球形です。目がつくと、少しばかり動物らしく見えてきます。耳をつければ、ウサギだと認めてもいいかな、と。







ただし、しもぶくれ度はまだ足りません。
もう少し大きなダーツにするとか、こめかみあたりを糸で引くという手もありますが、今はウサギにばかりかかずらってはいられません。将来適当な生地を見つけたら、別のポーズも作りたいと思います。

2011年3月5日土曜日

猫化粧

大人気の長毛猫メインクーンはアメリカ・メイン州の誇り。
メイン州の州立博物館では、メインクーンのぬいぐるみが売られているとか。それを買った日本人が「あまりメインクーンらしくない」と書いていましたが、写真を見た限り、猫らしくすらない代物のようです。ご当地の威信をかけてもっと立派なものを作れよ。とハッパかけたくなっちゃう。

とはいえ、メインクーンのぬいぐるみが猫の中でも最も難しい部類であるのも事実です。なにしろ模様が複雑怪奇。

むろん、単色のメインクーンもいます。メインクーンにはどんな色柄も許されるのです。
以前大きな黒猫を作って、月の輪猫と名づけました。実はこれ、メインクーンのつもりでした。

メインクーン、サイベリアン、ノルウェジアン・フォレスト・キャット・・・この3種は長毛の大型猫で、被毛の色や模様、目の色に制限がありません。細かい差異について解説した本も読みましたが、ぬいぐるみにしてしまえば、どれがどれでもかまわないって感じ。

ぬいぐるみを作る立場としては、種の特徴はシンプルでないとやりにくいのです。
だから私なりに、サイベリアンはマッカレルタビー、ノルウェジアン・フォレスト・キャットはマッカレルタビー+ホワイト、メインクーンはクラシックタビー・・・と、厳然たる区分けをしました(ちなみに、博物館のメインクーンはマッカレルタビー+ホワイトに見えます)。

いっとう複雑怪奇なのが、このクラシックタビーです。
クラシックタビーはアメリカン・ショートヘアでおなじみですね。大まかな縞模様で、ボディの横では固まって大きな斑点が生じています。額にはM字模様、目のまわりは淡い色で、目尻からはクレオパトラ・ライン、首にはちぎれかけのネックレス柄・・・こんなややこしい布はどこにも売っていません。

無理に作ろうとすれば、模様を描くのがてっとり早いとはいえます。

模様は『染めペン』という、布用フェルトペンを使います。手描き染料もいろいろありますが、たいていゴワゴワとなって、生地の風合いをそこねます。ハマナカ染めペンは仕上がりが柔らかくて、かなり許容できます。アリテックスカラーDYEはダメです。

あと、薄い色はパステルで塗るという手もありますが、私はもっぱら粉タイプのアイシャドウを利用します。けっこうしっかりついて落ちにくいようです。

染める場合、薄い色を濃くすることしかできません。しかもファーの奥までしみこまず、表面に色をつける程度になります。ロングヘアだと特にそうです。
ぬいぐるみの本で、黒い犬の眉あたりにある白いポチをアクリル絵の具で描く例を見ましたが、やや不自然な印象もありました。ここはくりぬいて白いファーを縫いつけたほうがいいようです。

それやこれやを考えつつ、ブラウンクラシックタビーのメインクーンを試作しました。
全体的に濃い目の茶色ですが、目のまわりが一番薄い色だから、使用したのはベージュのロングファーです。口と顎あたりは白い短毛ファー。

メインクーン頭

顔に色をつけるのは、お化粧しているみたいで、なかなか面白い作業です。が、手間はたいへん。おまけにどうもメインクーンらしくなりません。頭部だけで力尽きました。
我が家には失敗した猫の頭がゴロゴロしています。

2011年2月27日日曜日

猫の鼻

猫の鼻ってどうしてあんなに小さいんでしょう。
犬は鼻が利くから大きいのはわかるとしても、猫だって人間よりは嗅覚が優れているはず。

猫の鼻が小さいと何か不都合があるのかって?
ぬいぐるみの鼻を紙粘土で作るとき、小さすぎて形を整えにくいのです。大きい犬でさえ、さほどきれいな仕上がりではないのに、小さい猫の鼻はなかなかうまくいきません。形はふぞろいだし、ゆがんだり傾いたりしていて。

犬の鼻はプラスティック製の市販品がさまざまなサイズで売られていますが、猫用は見かけたことがなく、自分で作るしかないようです。

ごく少量の粘土を大まかな三角形にまとめ、裏側を平らにし、両脇を爪楊枝で押してくぼませ、中央に溝を引きます。乾いたらサンドペーパーででっぱりなどをならし、アクリル絵の具とコート剤を塗って仕上げ。それをボンドでくっつけます。

粘土の鼻

手間も時間もかかる上に、ファーの上に貼りつけるのだからちょっと浮いていて、不自然な印象です。
触るとひんやりして、犬の鼻などはプラスティックよりも本物っぽい感覚がありますが。

とりたててリアルな顔を目指しているわけではなく、鼻の穴などは不要とも思いますが、もっと顔になじむような仕上がりにしたいのです。

もともと鼻先は顔の一部に毛が生えていないだけですから、額から連続していたほうが違和感が少ないかもしれないと、型紙に組み込んでみました。これがうまくいけば、型紙をしっかり作ることで、いつも同じ鼻をほぼ左右対称に作れると期待できます。

猫頭

ところが・・・鼻の部分だけ埋まって、なんだか変です。左側がそれ。
鼻の布にはピンクのブロードを使いました。裏側にちょっぴり綿を詰めて、押し出すようにしてみたけど、布の厚さの違いからか、引っ込んだままでした。

埋まらないようにするには外側から縫いつけるほうがいいかもと、今度はフェルトを上側だけ縫いつけてみました。右側のほうです。フェルトは裁ち切りでもほつれないから、下のほうはボンドで貼り、鼻の穴の部分と溝をピンクの糸で縫って、口へとつなげました。
つながり方はわりと自然な感じですが、形はもっと工夫しなければ・・・。小さいから縫うのもひと苦労。粘土と比べてどっちが楽かわかりません。

ちなみに練習に使った顔は、目の部分を失敗したものです。捨てずに取っておけば、それなりに用途があるものですね。

2011年2月26日土曜日

続猫目穴

一昨年ころから、猫のぬいぐるみを作るときには、顔布の目の部分を切り抜いて、その穴から目玉をのぞかせるようにしています。
切り抜いた穴の位置がずれて作り直した話を去年書きましたが、あのあといくつか作った猫の頭は半分以上失敗しました。すべて穴の開け方をまずったせいです。左右非対称のほか、大きくなりすぎたり、形がゆがんだり・・・。
完成までこぎつけたものでも、実は妥協の産物なんですよね。

輪郭をしっかり描いて慎重に切れば、間違えることなんてなさそうなのに・・・。
いや、実際にやってみるとけっこうたいへんなのです。

そもそも私がよく使うファー布は、目の粗いニットで、裏面がデコボコしていて印がつきにくいし、切るとほつれやすいのです。
もっと密な布を探したけど、なかなか見つかりません。毛足の長さや光沢、手触り、価格など総合的に判断して、とりあえずそれに落ち着いています。
テディベアは平織りファーで作るようですが、個人的にはニットのほうが綿を詰めやすく、形を整えるのが楽だと感じます。

猫頭
右側は穴が大きすぎたので、ちょっと縫い縮めてプラスティックアイを差し込んでみました。穴の縁が見えないから、一般の外付け方式と同じです。昔はこれでもいいと思っていましたが・・・。

左はアーモンド形よりも丸くしようと切ったら、形が菱形っぽくなってしまいました。まだ切り過ぎてはいないから、切り整える余地はありますが、下の角から裂けてきて、難しい状況になりつつあります。(その後どうにか仕上げました。)

そんなふうに、失敗を重ねてはいるけれど、何個かやりそこねた程度でめげていては修業にならん。もっともっと失敗せえ。
というくらい目の穴にこだわるのは、1度これをやったら、普通に外から目を付ける方法では満足できなくなるのです。猫らしさがかなりアップしますから。ただし、丸い瞳孔の場合、かけた労力に見合うほどの違いではないような気もします。

2011年1月29日土曜日

鬼も爆笑

昨年はウサギぬいぐるみの作り方を載せようと、夏ごろからウサギ関連書籍をいろいろ借りてきて眺めたりしていましたが、結局できませんでした。
『かわいいウサギの飼い方』という本を自腹で買ったりもしたのに・・・。

まあ、ウサギは干支に関係なく人気の動物なので、今からでも遅くないでしょう。なんとか今年中に・・・。

これは『鍋島知津子の動物のぬいぐるみ―実物大型紙つき』に載っている型紙で作った、ウサギのぬいぐるみです。首と前脚がジョイントでつながっているので、ちょっとしたポーズをつけることができます。



今の感覚では、こういう耳長ウサギは古めかしいかもしれません。私が作りたいウサギは、ネザーランドドワーフやホーランドロップのようなタイプです。

いえいえ、「古めかしい」だなんて、生きた化石じゃあるまいし、まじめに生きている動物たちに、そんな表現は失礼ですね。

ついそう思ってしまうのは、めまぐるしく流行を追い求めるペット業界のせいです(それに乗せられた私)。最新のウサギ本には、かつてもてはやされた、いわゆる「ミニウサギ」には全く言及がありません。

言うまでもなく、ぬいぐるみの作り方にも古い新しいは無関係です。
『鍋島知津子の動物のぬいぐるみ』は、私が動物ぬいぐるみを作り始めるきっかけとなった、素晴らしい本です。「初心者だけど本格的ぬいぐるみを作りたい」かつ「意欲がある」方々におすすめしたい本は、これ以外に知りません。
すでに絶版ですが、中古が安く出回っているようです(手放すなんてもったいないぞ)。

ところで今月は、松の内が明けたとたん、とあるデザイン会社から「あなたのタツノオトシゴぬいぐるみの写真を来年の年賀状に使いたい」というメールが舞い込みました。
えーっ、もう来年の話? ビジネス界ってたいへんだなあとびっくりするとともに、来年は辰年だとあらためて認識したのでした。

辰、いや竜のぬいぐるみもずっと作りたかったんですよね。竜よりも、ドラゴンのほうかな。ええい、妥協して恐竜でもいいや。
ひょろ長い竜も迫力あるけど、ドラゴンは太めでかわいいし、ゲームなどでおなじみだから、海外でも受けること間違いなし。

しかし・・・何事もとろい私。あれも作りたい、これも作りたいと思うばかりでちっとも実行が伴わないのです。
シンプルなウサギでさえ間に合わなかったのに、ややこしいドラゴンをちゃんと作る余裕があるだろうか?

こうなればもっと先を見据えて、巳(蛇)の次の午(馬)あたりに照準を合わせようかなと、竜をあきらめかけたこのごろです。

2011年1月13日木曜日

写真術

たいそうなタイトルですが、実のところ私には写真の撮り方を論ずる資格などありません。10年もデジタルカメラを扱っていながら、全然上達しないんだもの。

自作の人形の形状などを見知らぬ人々にわかってもらうのに、写真はほぼ唯一ともいえる手段ですから、もっと気を配るべきですが、おおむね白い布の前に人形を置いて漫然と撮影しています。
それでも背景がシンプルになっただけましです。初期のころはそれさえも無頓着で、細かい凹凸のある壁紙や、汚い茶色の食器棚の背面などをバックにしていましたからね。

ほかに信条は、決してフラッシュを使わないこと。デジカメの色はただでさえ実物と異なるのに、フラッシュの光はより不自然な色に変えてしまいます。
だから晴れた日の昼間にしか撮影ができません。

色合いについては、画像編集ソフトである程度修正ができます。とはいえ、いくら自分の気に入るように修正しても、見る人の環境によって違ってくるものですから、無駄な努力だったりして・・・。

色はいいとして、形については、ソフトによる補正は困難です。樽型や魚眼型ひずみへの処置はありますが、極端すぎてかえって変になります。

常々私は不満を抱いていました。
うちの子たち、実物はかっこいい(って親の欲目)のに、写真を撮るとどうしてこんなにブサイクなんだろ。

私の作る人形は八頭身で脚の長さは身長の半分以上あることが多いのですが、立たせて撮ると、妙に胴長短足なのです。頭でっかちで腕が長い、ゴリラ体型って感じ。
正面から顔をアップにすると、目がロンパリになっちゃったりもします。

これはもうカメラが悪い。と責任転嫁。

私のカメラはものすごい安物だし、かなり古いんです。なにぶんSDカードが使えません。画素数も少ないし。
よーし、バンバン働いて新式のデジカメを買うぞう(思うだけ)。

先般ふと手に取った1冊の本。
かわいい写真を撮る方法。

表紙の写真は地味でかわいくはないし、別に私はかわいい写真を撮りたいわけではないし・・・とあまり期待しなかったのですが、食べ物やペット、風景など、対象ごとに細かい解説があって充実した内容です。いろいろと参考になりました。

中でも目からウロコだったのが、ズームの活用。

円筒形のカップや瓶などをデジタルカメラで撮ると、縦の形が平行ではなく、すそせばまりになります。それはデジカメが広角レンズを使っているからだという意味のことが、実例写真とともに記載されていました。ズームで撮ると、ある程度防ぐことができるのだと。

ズームといえば、私の感覚では「望遠」・・・屋外で遠くのものを撮るときに使用するものであって、室内での小物撮影に使うなんて、全く頭にありませんでした。

人形の写真が短足で上半身を強調した姿になったのは、そのせいもあるのでしょう。

以来、近くのものを撮影するのにもズームを試すようになりました。
確かにプロポーションはけっこう良くなる場合がありますが、微妙な差ですね。

 

ズームだと、カメラが余分な採光を要求し、ぼけたりぶれたりしやすくて、失敗写真が増えました。まだまだ研究と試行錯誤が求められます。